vol.11 トレーニングを組み立てるために


トレーニングを組み立てる

 コーチがトレーニングのプログラムを組み立てる際には、どういったことに気を付ければよいでしょうか。まず「その日のトレーニングで何を伝えたいか」を自問してもらいたいと思います。すなわちトレーニングのテーマです。これは各チームの選手のレベルなどによって異なりますが、自分が指導をするグループをしっかりと観察して決めるようにします。
 テーマの数は、多ければ多いほど良いというものではありません。できるだけシンプルに、1つか2つのテーマに絞ることが必要です。コーチの伝えることが多ければなるほど、選手にとってはその焦点がぼやけてしまうものです。まずは、1つ(か2つ)のテーマに絞り、しっかりとその伝える内容を整理することが必要となります。
 テーマが決まれば、あとはプログラム作りです。流れとしては、「テーマの決定」→「SSG(スモールサイデッドゲーム=ミニゲーム)」→「ボールワーク(=テクニカル・トレーニング)」→「ウオーミングアップ」というように、トレーニングとは逆の流れで、それぞれの大まかな内容を決めていくとプログラムが作りやすくなります。


個々の動機付けを促す

 実際のメニューは、インターネットや、書籍、雑誌などで多くの情報を得られると思います。コーチは常にアンテナを張りめぐらし、それらの情報を少しでも多く習得して、自分のものへとアレンジをすることが大切です。
 多くのコーチは「たくさんのトレーニングメニューを知りたい」と思っているのかもしれません。しかし、どんなに多くトレーニングメニューを知っていても、自分の指導におけるフィロソフィーを持たなくては、なんの効果も生まれないことをまずは理解していただきたいと思います。
 コーチが自分のフィロソフィーを持ち合わせることによって、初めてそれぞれのプログラムに息が吹き込まれるものです。「コピー」したトレーニングだけでは子どもたちも満足しないはずです。ぜひ、皆さんのフィロソフィーの下、後にここで紹介するプログラム例を「料理」してもらえればと思います。
 トレーニング後、子どもたちが「今日は楽しかった!」、「またすぐに練習をやりたい!」と思えば、その日の練習は90パーセント成功したといえます。つまり「腹八分目」の状態です。がむしゃらに長時間練習するのではなく、短時間で終えることで、子どもたちのモチベーションを次回のトレーニングや試合へつなげられるのです。
 残りの10パーセントは、「子どもたちがその日の練習から何を学んだか?」、「どんな刺激を受けたか?」などによって変わると思います。この部分に関しては、コーチングの質によっても変わるでしょう。しかし、どんなに良い指導をしても、100パーセント成功するとは限りません。何らかのミスや修正点はあるものです。
 「子どもたちが待つ時間が長かった」、「テーマを浸透させられなかった」など、修正すべき点をコーチが理解することも必要です。その日のトレーニングを振り返り、反省することによって、コーチも成長し、次のトレーニングに生かせることを忘れないでください。

2024.07.07 by Jun Hirano / Funroots



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