vol.14 ステージプランとは?


コンセプト

 ジュニアコーチの一番大切な役割。それは、「子どもたちが”楽しい”、”面白い”、”上手になりたい”と思う、サッカーに対する気持ちを育むこと」とこれまでにも記してきました。そのためには、コーチがしっかりと目的を持ち、計画を立てて子供たちにトレーニングを提供しなくてはなりません。
 また、クラブ全体として一貫したコンセプトで指導をしていくことは非常に大切なことです。そのためにも、私たちは子どもたちの指導を行う前提として、目的や計画性を明確に持つようにしています。全体としての指針をある程度示し、その指針をベースに各コーチがベクトルを合わせながら、オリジナリティーを発揮していくのが理想像です。ここでは、我々の基盤となる部分を紹介したいと思います。


サッカーにおけるステージプラン

 子どもたちの発育・発達とは、その年代の子供たちによってまったく異なるものです。発育・発達が異なれば、サッカーにおいて見られるゲーム様相も自然と変化します。ゲーム様相が異なるということは、トレーニングで求められる要求レベルも違いが生じるわけです。
 例えば、年齢が低くなればなるほど、ボールへの好奇心が強く、自己中心的なプレーに走りがちで、ゲームになると「だんご状態」になってしまう傾向が強いのは、皆さんもご存知のことと思います。幼稚園生や小学校1〜2年生の試合などを見ていると、面白いようにボールの動く方向へだんご状態で移動し、敵のボールを奪うだけでなく、味方のボールまでも奪い合ってしまう光景をよく見かけるのではないでしょうか。
 この状態を解決しようと、コーチが「広がれ!」、「スペースへ走れ!」、「固まるな!」と言っても、この時期の子供たちの特性を考えると難しいのかもしれません。このようなケースは、ゲーム経験や年齢を重ねるにつれて、必然的にゲームにモビリティー(活動生)や臨機応変さが生まれ、コーチが求める複雑な戦術にも適応できる能力が養われるものです。子どもたちの身体の発育・発達に加えて、精神面や知性面の発育・発達もゲーム様相の変化の一要因になっています。



 子どもたちの発育・発達を考慮した上、トレーナビリティーを考慮し、長期的な視点を持ってトレーニングをオーガナイズするとよいでしょう。もちろん最終的には、実際に指導をしている子どもたちの様子を観察して判断をしなくてはなりません。
 では、ジュニア年代のトレーナビリティーとは一体なんであり、どのような視点からとらえればよいのでしょうか。
 ファンルーツでは、ジュニア年代のカリキュラムを考える上で、Istvan Balyi氏(図1参照)が示した「各年代におけるトレーナビリティー」を参考にして、ステージごとの方向性を定めています(表1参照)。男子に比べて女子の発育は良く、早い子だと7〜8歳には第2次成長期を迎え、10歳前後には思春期が訪れるものです。学校でも女の子のほうが男の子よりも強いなんていうことはよくあるのではないかと思います。女の子に関しては、身体だけでなく、精神面、知性面においても発育が早いため、プレーステージが少し早く進むと考えてもよいでしょう。

2024.08.24 by Jun Hirano / Funroots



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